svipc

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Langue: ja

Version: 1993-11-01 (fedora - 25/11/07)

Section: 7 (Divers)

名前

svipc - System V プロセス間通信機構

書式

 # include <sys/types.h>
 # include <sys/ipc.h>
 # include <sys/msg.h>
 # include <sys/sem.h>
 # include <sys/shm.h>
 
 

説明

このマニュアル・ページは System V プロセス間通信機構の Linux に おける実装を説明する。 このプロセス間通信機構(interprocess communication mechanism)には、 メッセージ・キュー(message queue)、セマフォー集合(semaphore set)、 共有メモリ・セグメント(shared memory segment)などがある。以下で 資源(resource) という用語を使用した場合にはこれらの機構のどれかを意味する。

資源へのアクセス許可

システムのそれぞれの資源は、ipc への操作を許可するかどうかを決定する ための情報を共通の構造体 struct ipc_perm に格納して使用する。 ipc_perm 構造体は、ヘッダーファイルの <sys/ipc.h> に定義されており、以下のメンバーが含まれている:
 
 struct ipc_perm {
     uid_t cuid;   /* 作成者のユーザーID */
     gid_t cgid;   /* 作成者のグループID */
     uid_t uid;    /* 所有者のユーザーID */
     gid_t gid;    /* 所有者のグループID */
     ushort mode;  /* 読み書きの許可 */
 };
 

ipc_perm 構造体の mode メンバーは以下の 9 ビットで、プロセスの ipc システム・コール による資源へのアクセス許可を定義する。 許可は以下のように解釈される:

     0400    ユーザーによる読み込み。
     0200    ユーザーによる書き込み。
 
     0040    グループによる読み込み。
     0020    グループによる書き込み。
 
     0004    他人による読み込み。
     0002    他人による書き込み。
 

システムはビット 0100, 0010, 0001 (実行ビット) は使用しない。 さらに、セマフォーの場合には "書き込み(write)" は実際には "変更(alter)" を意味する。

同じヘッダーファイルには以下のシンボルの定義が含まれている:

IPC_CREAT
キー(key)が存在しない場合には新たなエントリを作成する。
IPC_EXCL
キー(key)が存在する場合には失敗する。
IPC_NOWAIT
要求が待たされる場合にはエラーになる。
IPC_PRIVATE
プライベート・キー。
IPC_RMID
資源を削除する。
IPC_SET
資源にオプションを設定する。
IPC_STAT
資源のオプションを取得する。

IPC_PRIVATEkey_t 型である。その他の全てのシンボルはフラグ・フィールドとして int 変数に OR 演算で格納することができる。

メッセージ・キュー

メッセージ・キューは正の整数 (msqid) によって識別され、 <sys/msg.h> に定義されている構造体 struct msqid_ds に結びつけられている。 この構造体は以下のメンバーを含んでいる:
 
 struct msqid_ds {
     struct ipc_perm msg_perm;
     msgqnum_t msg_qnum;    /* キューにあるメッセージの数 */
     msglen_t  msg_qbytes;  /* キューの最大バイト数 */
     pid_t     msg_lspid;   /* 最後に msgsnd(2) をした PID */
     pid_t     msg_lrpid;   /* 最後に msgrcv(2) をした PID */
     time_t    msg_stime;   /* 最後に msgsnd(2) をした時間 */
     time_t    msg_rtime;   /* 最後に msgrcv(2) をした時間 */
     time_t    msg_ctime;   /* 最後に変更された時間 */
 };
 
msg_perm
メッセージ・キューへのアクセス許可を指定する ipc_perm 構造体。
msg_qnum
現在、このメッセージ・キューにあるメッセージの数。
msg_qbytes
メッセージ・キューに入れることができるメッセージの最大バイト数。
msg_lspid
最後に msgsnd(2) システム・コールを行なったプロセスの ID。
msg_lrpid
最後に msgrcv(2) システム・コールを行なったプロセスの ID。
msg_stime
最後に msgsnd(2) システム・コールを行なった時間。 msg_rtime 最後に msgrcv(2) を行なった時間。
msg_ctime
最後に msqid_ds 構造体のメンバーが変更された時間。

セマフォー集合

セマフォー集合は正の整数 (semid) によって識別され、 <sys/sem.h> に定義されている構造体 struct semid_ds に結びつけられている。 この構造体は以下のメンバーを含んでいる:
 
 struct semid_ds {
     struct ipc_perm sem_perm;
     time_t          sem_otime;   /* 最後に操作した時間 */
     time_t          sem_ctime;   /* 最後に変更した時間 */
     ulong           sem_nsems;   /* 集合の中にあるセマフォー数 */
 };
 
sem_perm
セマフォー集合へのアクセス許可を指定する ipc_perm 構造体。
sem_otime
最後に semop(2) システム・コールを行なった時間。
sem_ctime
最後に semctl(2) を行なって上記の構造体のメンバーを変更するか、セマフォー集合に属する セマフォーを変更した時間。
sem_nsems
セマフォー集合の中にあるセマフォーの数。 集合の中にあるそれぞれのセマフォーは負でない整数によって参照され、 0 から sem_nsems-1 までの番号を持つ。

セマフォーは struct sem 型のデータ構造体であり、以下のメンバーを含んでいる:

 struct sem {
     int semval;  /* セマフォーの値 */
     int sempid;  /* 最後に操作したプロセス ID */
 }
 
semval
セマフォー値: 負でない整数。
sempid
このセマフォーを最後に操作したプロセスの ID。

共有メモリ・セグメント

共有メモリ・セグメトは正の整数 (shmid) によって識別され、 <sys/shm.h> に定義されている struct shmid_ds 構造体に結びつけられている。 この構造体は以下のメンバーを含んでいる:
 
 struct shmid_ds {
     struct ipc_perm shm_perm;
     size_t shm_segsz;     /* セグメントのサイズ */
     pid_t shm_cpid;       /* 作成者のプロセス ID */
     pid_t shm_lpid;       /* 最後に操作したプロセス ID */
     shmatt_t shm_nattch;  /* 現在、付加している数 */
     time_t shm_atime;     /* 最後に付加した時間 */
     time_t shm_dtime;     /* 最後に分離した時間 */
     time_t shm_ctime;     /* 最後に変更した時間 */
 };
 
shm_perm
共有メモリ・セグメントへのアクセス許可を指定した ipc_perm 構造体。
shm_segsz
共有メモリ・セグメントのバイト数。
shm_cpid
共有メモリ・セグメントを作成したプロセスの ID。
shm_lpid
最後に shmat(2) または shmdt(2) システム・コールを実行したプロセスの ID。
shm_nattch
この共有メモリ・セグメントをメモリに付加(attach)しているプロセスの数。
shm_atime
最後に shmat(2) システム・コールを行なった時間。
shm_dtime
最後に shmdt(2) システム・コールを行なった時間。
shm_ctime
最後に shmctl(2) システム・コールを行なって、 shmid_ds 構造体を変更した時間。

関連項目

ipc(2), msgctl(2), msgget(2), msgrcv(2), msgsnd(2), semctl(2), semget(2), semop(2), shmat(2), shmctl(2), shmdt(2), shmget(2), ftok(3)